日本の心を映す自然豊かな白山信仰の地、石徹白(いとしろ)。この地は、古来より霊峰白山を信仰の対象とし、多くの修験者や参拝者が訪れてきました。そんな石徹白の歴史と文化、そしてその自然環境に息づく信仰の形が今に伝えられています。
一方で、かつてこの地をさらに活性化させようと計画されたが、最終的に実現しなかった越美線の物語もあります。石徹白地区の魅力とともに越美線の未成線区間について私独自の視点で考察しています。
石徹白の魅力
石徹白の歴史
石徹白地区は岐阜県の白山の麓にある小さな集落です。山あいにひっそりと佇む地域ですが、歴史は古く白山信仰とともにありました。発掘された石器や土器から、なんと縄文時代から人々が生活していたと推測されます。
江戸時代にはこの地域は郡上藩領となり白山中居神社の指導権をめぐり神主派と神頭職派の争いがおこります。争いの末、神頭職派の村民500人程が村から追放される石徹白騒動が勃発しています。争いことながら石徹白の地への思いが強く現れているようです。
白山信仰
また、古くから白山信仰の中心地の一つとして栄えてきました。この地域は、豊かな自然に恵まれ、山々に囲まれた環境で、白山神社を中心に多くの信者が訪れてきました。白山信仰とは、白山(はくさん)を神聖視し、そこに祀られる神々を崇拝する宗教的な信仰です。石徹白では、その信仰を背景に、多くの文化や伝統が育まれてきました。
また、この地域は農業が盛んであり、特に江戸時代には米の生産で栄え、多くの人々が暮らすようになりました。これにより、地域固有の祭りや行事が発展し、白山信仰と結びついた独自の文化が形成されていったのです。例えば、白山祭りでは、地元の人々が手作りの装束をまとい、白山への感謝を表現する豊年祭が催されます。この祭りは、地域の団結力を高め、白山信仰を今に伝える重要な行事となっています。
※ 画像は石徹白ニュースより
現在でも石徹白の多くの住民は白山信仰を持ち続けており、日々の生活の中で神聖な白山を敬い、自然と共生する暮らしを送っています。そのため、石徹白地域は、文化的にも歴史的にも非常に豊かで、訪れる人々に多くの魅力を提供しています。
石徹白のレジャー
観光客のための宿泊施設、レジャー施設は人気があり多くの方が訪れています。石徹白地区は特に登山やハイキングで知られており、白山の麓にありますので、山岳観光の拠点としても最適です。白山は、古くから信仰の山とされ、多くの登山者や自然愛好者が訪れます。石徹白から白山へのアクセスも良好で、初心者から上級者まで幅広いハイクコースが整備されています。
また、川遊びや釣りといった水辺のレジャーも盛んであるため、夏場は家族連れや友人同士が訪れることが多いです。それに加えて、冬季には周辺の山々でのスノーシューが楽しめるのも大きな魅力です。リフレッシュできる温泉施設も点在しており、四季折々の自然を楽しみながらくつろぐことができるのです。
さらに、石徹白は古い街並みが残る地区でもあり、散策するだけでもその歴史を感じ取ることができます。地元の食材を使用した料理は訪れた人々の心をも満たしてくれるでしょう。石徹白で過ごす時間は、日常の喧騒から離れ、心身ともに癒やされる貴重な体験をすることができます。
※ 画像は岐阜の旅ガイドより
越美線の開業計画
石徹白地区を経由
越美線の開業は複雑な背景と密接に関わっています。この路線は、北農駅から九頭竜子駅迄を石徹白地区を経由し結ぶ予定でした。美濃から越前を結ぶのであれば、美濃白鳥駅から美濃街道(R158)経由九頭竜湖駅と考えるのが自然です。しかし石徹白経由としたのは白山への参拝、石徹白地区の活性化が目的であったとするのが自然です。
しかし、北濃駅、九頭竜湖駅間を結ぶには峠を超えるなどの地理的な問題がありました。更に財政的に苦しく赤字路線の撤廃の動きが逆風として大きく作用します。
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開業計画の頓挫
結局、越美線の計画は、実現には至りませんでした。初期の計画段階では、地元の観光促進と地域活性化が大きな目的とされており、地元住民や事業者からは一定の支持もありましたが、財政的な困難と地理的な制約から越美線の施工は中途で頓挫しています。
現在は越美北線と越美南線が南北に残る形となります。現在、越美南線は長良川鉄道として郡上八幡駅等への観光の足として活躍しています。
※ 画像は岐阜の旅ガイドより
まとめ
越美線の計画が実現しなかったことで石徹白地区への利便性は損なわれましたが、石徹白が岐阜県北部の山あいに独自の地区として残り得たと考えることもできます。そもそもが、白山信仰の歴史ある霊験あらたかな石徹白が、容易にアクセスできる場所である必要もありません。
いまでは、白鳥交通のバスが、本数が少ないながら、石徹白に出ているのみです。しかし、その先から九頭竜湖に向かう山道を二時間ほどかけて歩く方がみえるのも確かです。その方は実現しなかった越美線への見果てぬ夢を追いかけているのかもしれませんね。