今から50年以上前になりますが、現在の鳳来寺駅バス停前に田口線が運行されていました。廃線となっている現在でも、鉄道ファンに人気のある路線跡です。この記事では、田口線の開業当時から共に歩んだ鳳来寺駅前のおかめ茶屋を紹介します。旅の目的は田口線の思い出探しと、田口線の歴史と共に歩んだ五平餅を味わうことです。
田口線とおかめ茶屋
おかめ茶屋の歴史
「おかめ茶屋」の歴史は田口線の鳳来寺駅と深い関係にあります。お店は昭和5年に始められ、現在の店主:三奈子さんの祖母が鳳来寺駅前の食堂として始められています。
田口線の全線開通は、昭和7年ですが、先の昭和4年には本長篠駅から三河海老駅間が開通していますので、当時既に鳳来寺への参拝客の方が立ち寄る店として繁盛していたことが想像できます。
田口線は、車社会の影響などもあり1968年にはその役目を終えていますが、旧鳳来寺駅の跡地は現在もおかめ茶屋などの駐車場として利用されています。
鳳来寺駅の歴史
旧田口線は飯田線の本長篠駅からの支線となりますが、開設当時の鉄道会社、鳳来寺鉄道の鳳来寺口(現本長篠駅)を始発駅とし三河田口駅までを結んでいました。本長篠駅を出発した列車は最初の停車駅三河大草駅をへて今回紹介する鳳来寺駅に向かいます。
鳳来寺駅は田口線の駅の中でも特に利用者が多く、旅行者や地元住民に愛されてきました。鳳来寺は鳳来寺山山麓にあり、参拝目的で訪れる人のため、飯田線より臨時列車も出ていた時期もあります。
この駅の開業により、周辺の観光地へのアクセス向上に大きく貢献し、地域経済の活性化にもつながったと言われています。駅の構造は二面二線ホームとして機能し(貨物ホームもあり)、田口鉄道の中では本長篠駅同様、乗客の多い駅でした。
※ 画像は奥三河観光サイトより
当時より、鳳来寺駅前の門谷地区の活性化はすすみ、田口鉄道の本社が鳳来寺駅駅舎内に移転しています。駅舎二階には食堂もあり、当時の観光客の方のみでなく多くのひとに利用される駅となります。
おかめ茶屋
思い出の写真
おかめ茶屋の店内に入ると昔ながらのお茶屋さんの雰囲気と、甘く香ばしい五平餅の香りが迎え入れてくれます。おかめ茶屋では、この店で受け継がれてきた伝統の味を、誰もが手軽に堪能できます。五平餅をいただきながら、ゆっくり過ごしましょう。店の中にたくさんの田口鉄道の思い出の写真や資料がおかれています。
五平餅:300円 おでん: 二本150円
注文を聞いてから焼くので少し時間(10分程度)はかかりますが、アツアツの甘味噌味のおいしい五平餅が食べられます。その他、ゆず味噌おでんや秋から始まる関東煮など昔から変わらない味で待っています。 ※ おかめ茶屋HPより
貴重な写真を見つけました。まさに田口駅開業当初のものと思われます。正面の方は田口鉄道に尽力した平松雅夫氏の御子息とのこと、車は当時の日本にはほとんど無いイギリスフォードではないでしょうか?さまざまな田口線の資料とともに開業当時の田口駅の写真がおかれていました。
五平餅の味
五平餅をいただきながら、この場所を走っていた田口線の木製列車の様子がこみ上げてきます。忙しく五平餅を焼く最中、失礼と知りつつも店の方に田口線の経路について改めて質問してみました。「 そこの道を昔電車が走っていたんだよ 」気さくに答えていただき心が暖まります。
旧鳳来寺駅前にあるおかめ茶屋の五平餅の味は、長年の歴史と地域の愛情を感じさせる特別な一品。そんなおかめ茶屋の魅力を感じながら、心温まる体験は、鉄道ファンのみならず何とも楽しい空間ですね。
鉄道好きな私にはもちろん、とても有益な一日でした。田口鉄道についてさらに詳しく知りたくなリ、鳳来寺駅より先、三河田口駅までの探訪と美味しい五平餅の味を再度味わってみたくなったことはゆうまでもありません。
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